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映画『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』

松重 豊  北川景子 皆川猿時  河野安郎  原田千枝子 山中 崇  濱田 岳  伊東四朗 脚本・監督: 細川 徹 原作:ヒキタクニオ『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』(光文社文庫刊)

10月4日(金)ROADSHOW

妻の一言で、すべてが変わった。アラフィフ作家、「男の妊活」に駆ける!

TRAILER

    PICK UP

    アラフィフ作家・ヒキタクニオ、妻のサチと「男の妊活」始めます。

    INTRODUCTION

    いっぱい泣いていっぱい笑って、ふたりは「夫婦」になっていく。

    作家・ヒキタクニオの実体験を綴った本作は、今まで日本映画で取り上げられることのなかった妊活をテーマにした意欲作であると同時に、困難が立ちはだかっても明るく前向きに乗り越えていくヒキタ夫妻の姿を、ユーモアを交えて描き出すエンターテインメント作品。

    映画初主演となる松重豊をはじめ、北川景子、濱田岳、山中崇、伊東四朗ら、日本映画界を代表する豪華メンバーの見事なコラボレーションが山あり谷ありの人生を優しく、鮮やかに彩っている。

    人生は計画通りに行かないけれど、ふたり一緒に歩けば、予期せぬワクワクが隠れている。
    この夫婦が私たちを元気にします!

    STORY

    ヒキタクニオ、49歳。職業は人気作家。サウナとビールが大好きで、ジム通いのおかげでいたって健康体。
    一回り以上年が離れた妻・サチと仲良く暮らしている。
    年の差婚のふたりは、子どもは作らず、気ままに楽しい夫婦生活を送るつもりでいたが、ある日の妻の突然の一言ですべてが変わった。

    「ヒキタさんの子どもに会いたい」

    サチの熱意に引っ張られる形で、妊活へ足を踏み出すことになったヒキタ。
    だが、彼は知らなかった。まだまだ若くて健康だと自負していたが、相反して、彼の精子が老化現象を起こしていたことを……。

    CAST

    松重 豊

    ヒキタクニオ

    人気作家。夫婦ふたりで気ままな生活を送るつもりだったが、愛する妻・サチの一言をきっかけに“男の妊活”に励むことになる。

    松重 豊

    1963年生まれ、福岡県出身。蜷川スタジオを経て、1992年、黒沢清監督『地獄の警備員』で映画デビュー。以降、舞台、ドラマ、映画と幅広く活躍。『しゃべれども しゃべれども』(07)で第62回毎日映画コンクール男優助演賞、『ディア・ドクター』(09)で第31回ヨコハマ映画祭助演男優賞を受賞。テレビドラマでは、「孤独のグルメ」シリーズ(12~、テレビ東京)、「アンナチュラル」(18、TBS)、「パーフェクトワールド」(19、フジテレビ)、連続ドラマW「悪党〜加害者追跡調査〜」(19、WOWOW)、大河ドラマ「いだてん~東京オリンピック噺~」(19、NHK)などに出演。また、エフエム横浜「深夜の音楽食堂」にてラジオパーソナリティも務める。

    北川景子

    ヒキタサチ

    ヒキタクニオと一回り以上年の離れた妻。ある日、「ヒキタさんの子どもに会いたい」と宣言し、これがきっかけで夫婦の妊活がスタートする。

    北川景子

    1986年生まれ、兵庫県出身。2003年にモデル・女優として芸能活動を開始。森田芳光監督作『間宮兄弟』(06)で映画デビューし、同年には『チェリーパイ』で映画初主演を果たす。TVドラマ版と劇場版ともにメインキャストを務めた作品として「謎解きはディナーのあとで」シリーズ(11~13)、「悪夢ちゃん」シリーズ(12~14)、「HERO」シリーズ(14~15)など。近年、映画では『君の膵臓をたべたい』(17)、『探偵はBARにいる3』(17)、『パンク侍、斬られて候』(18)、『響-HIBIKI-』(18)と出演作が続き、主演を努めた『スマホを落としただけなのに』(18)は大ヒットを記録。テレビドラマでは、主演を努めた「家売るオンナの逆襲」(19)で人気を不動のものにし、いまなお活躍の場を広げ続けている。

    濱田岳

    杉浦俊一

    ヒキタの担当編集者。ヒキタとは仕事のみならず、プライベートでも仲が良く、ヒキタの良き相談相手となる。

    濱田岳

    1988年生まれ、東京都出身。1998年、ドラマ「ひとりぼっちの君に」(TBS)でデビュー。『青いうた~のど自慢 青春編~』(06)で映画初主演を飾り、映画『アヒルと鴨のコインロッカー』(07)で第22回高崎映画祭最優秀主演男優賞を受賞。テレビドラマでは大河ドラマ「軍師官兵衛」(14、NHK)、「HERO」(14、フジテレビ)、「釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~」シリーズ(15~、テレビ東京)、NHK連続テレビ小説「わろてんか」、「フルーツ宅配便」(19、テレビ東京)、「インハンド」(19、TBS)など、ジャンルを問わず様々な作品に出演。今年公開の映画出演作として、『マスカレード・ホテル』、『引っ越し大名!』、『決算!忠臣蔵』など。

    山中崇

    桑島医師

    ヒキタ夫妻の担当医。不妊治療の専門医で、夫妻の困難にともに取り組んでいく。

    山中崇

    1978年生まれ、東京都出身。学生時代より演劇活動を始め、「おもいのまま」(飴屋法水 演出)、「PORTAL」(松本雄吉 演出)、「消えていくなら朝」(宮田慶子 演出)など多くの舞台に出演。以降、映画、ドラマ、CMなど幅広く活動。ドラマでは、「ごちそうさん」(13、NHK)、「100万円の女たち」(17、テレビ東京)、「悪党~加害者追跡調査」(19、WOWOW)などに出演。映画では、『松ヶ根乱射事件』(06)、『海炭市叙景』(10)、『アウトレイジ ビヨンド』(12)、『恋人たち』(15)、『菊とギロチン』(18)など、幅広い役柄をこなす。今年公開の映画出演作は、『デイアンドナイト』、『ねことじいちゃん』、『あの日のオルガン』、『WE ARE LITTLE ZOMBIES』、『閉鎖病棟―それぞれの朝―』など。

    伊東四朗

    田野辺和夫

    サチの父。大学教授をしており頑固な性格だが、娘のことを誰よりも心配している。

    伊東四朗

    1937年生まれ、東京都出身。高校卒業後、大学生協に勤務の傍ら浅草の軽演劇に通う。
    1958年に軽演劇の石井均率いる劇団「笑う仲間」に参加、浅草松竹演芸場でデビュー。
    1962年に三波伸介、戸塚睦夫と「てんぷくトリオ」を結成。舞台やテレビで一躍人気者となり、喜劇役者として活躍。以降、多数のドラマ、映画、舞台に出演する。
    連続テレビ小説「おしん」(83、NHK)、大河ドラマ「平清盛」(12、NHK)、「十津川警部」シリーズ(92~15、TBS)などに出演。「伊東家の食卓」(97~07、日本テレビ)、「芸能人格付けチェック」(05~、テレビ朝日)などバラエティ番組でも活躍。映画では『マルサの女』(87)、『ミンボーの女』(92)、『THE有頂天ホテル』(06)、『しゃべれどもしゃべれども』(07)、『舞妓Haaaan!!!』(07)、 『ゴールデンスランバー』(10)など、多数の作品に出演。

    STAFF

    脚本・監督:細川徹

    1971年生まれ、埼玉県出身。シティボーイズの作演出をはじめ、さまざまな舞台に関わり、笑いに関して定評がある。渡辺謙主演のコントドラマ『君は天才!』、テレビアニメ『深夜!天才バカボン』脚本・監督、ドラマ『小河ドラマ龍馬が来る』の脚本、監督、『乾杯戦士アフターV』のシリーズ構成・監督などさまざまなメディアで活躍している。映画監督としては、『ぱいかじ南海作戦』(12)で長編映画デビュー。本作は『オケ老人!』(16)に続く、長編映画3作目となる。

    企画・プロデュース:前田浩子

    鹿児島県出身。1996年に岩井俊二監督作『スワロウテイル』で映画プロデューサーとしてデビューし、同監督作『リリイ・シュシュのすべて』(01)、『花とアリス』(04)をプロデュース。さらに、海外作品にも活動を広げ、ウォン・カーウァイ監督・脚本『2046』(04)を制作。クエンティン・タランティーノ監督・脚本『キル・ビル』(03、04)にプロデューサーとして参加。その他、『百万円と苦虫女』(08/タナダユキ監督)、『洋菓子店コアンドル』(11/深川栄洋監督)、『星ガ丘ワンダーランド』(16/柳沢翔監督)など多数の作品をプロデュース。細川監督作品は『ぱいかじ南海作戦』(12)、『オケ老人!』(16)に続いて3作目となる。

    ラインプロデューサー:森 太郎

    『あげまん』(90)をはじめとする6本の伊丹十三監督作品に製作進行等で携わる。近年ではラインプロデューサーとして活躍。近年の主な作品に『エイプリルフールズ』(15/石川淳一監督)、『犬猿』(18/吉田恵輔監督)、『賭ケグルイ』(19/英勉監督)など。細川監督作品は『ぱいかじ南海作戦』(12)、『オケ老人!』(16)に続いて3作目の参加。

    撮影:大内 泰

    1981年生まれ、埼玉県出身。2004年よりマックレイHD撮影チームに所属しDITとして様々な作品に携わる。2008年よりフリーの撮影部。福本淳キャメラマン、中山光一キャメラマンに師事。数々の映画やドラマの撮影を経験ののち2016年よりキャメラマンとして活動している。映画『恋愛奇譚集』(17)やドラマ「スリル!赤の章・黒の章」他多数の作品を撮影。撮影作品で映画『ブルーヘブンは君に』の公開が控えている。

    照明:宗 賢次郎

    1977年生まれ、福岡県出身。『テルマエロマエII』(14/武内英樹監督)、『龍三と 7 人の子分たち』(15/北野武監督)など、照明チーフとして多数の作品に参加。その後、2015年の『もちつきラプソディ』(VIPO 作品/加瀬聡監督)で照明技師デビュー。2018年、『散り椿』(木村大作監督)で日本アカデミー賞優秀照明賞受賞。近年の主な作品は『愚行録』(17/石川慶監督)、『幼な子われらに生まれ』(17/三島有紀子監督)、『半世界』(19/阪本順治監督)、『ある船頭の話』(19/オダギリジョー監督)、『蜜蜂と遠雷』(19/石川慶監督)など。

    録音:岡本 立洋

    1962年生まれ、京都府出身。1982年よりドキュメンタリー番組などの録音を担当。1996年『青い魚』(中川陽介監督)で長編映画デビュー。主な作品は、『真昼ノ星空』(06/中川陽介監督)、『ミラクルバナナ』(06/錦織良成監督)、『さや侍』、『R100』(11、13/松本人志監督)、『ぱいかじ南海作戦』、『オケ老人!』(12、16/細川徹監督)、『星ガ丘ワンダーランド』(16/柳沢翔監督)、『青の帰り道』(18/藤井道人監督)、『いちごの唄』(19/菅原伸太郎監督)など。

    編集:木村悦子

    1975年生まれ、東京都出身。映画をはじめ幅広いジャンルを手がける。主な映画作品は『そこのみにて光輝く』(14/呉美保監督)、『きみはいい子』(15/呉美保監督)、『星ガ丘ワンダーランド』(16/柳沢翔監督)、『森山中教習所』(16/豊島圭介監督)、『blank13』(18/齊藤工監督)、『榎田貿易堂』(18/飯塚健監督)、『赤い雪 Red Snow』(19/甲斐さやか監督)など。細川監督作品は『オケ老人!』(16)に続いての参加。

    美術・装飾:遠藤善人

    装飾助手として大作に携わり、ここ数年は美術も手掛けている。本作では3年越しのヒキタ夫婦の部屋を四季を織り交ぜて、センス良い手腕を披露している。これまでの代表作には『花婿は18歳』(09/武正晴監督)、『残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-』(16/中村義洋監督)、『斉木楠雄のΨ難』(17/福田雄一監督)、『50回目のファーストキス』(18/福田雄一監督)、『君が君で君だ』(18/松居大悟監督)、『生きてるだけで、愛』(18/関根光才監督)、『五億円のじんせい』(19/文晟豪監督)など。

    音楽:大間々 昂

    1988年生まれ。洗足学園音楽大学卒業。映画・ドラマ・アニメ・CMなど幅広いジャンルで活躍している。主な作品は、『予告犯』(15/中村義洋監督)、『愚行録』(17/石川慶監督)、『彼女がその名を知らない鳥たち』(17/白石和彌監督)、『機動戦士ガンダム Twilight AXIS 赤き残影』(17/金世俊監督)、『スマホを落としただけなのに』(18/中田秀夫監督)、ドラマW「イアリー 見えない顔」(18/WOWOW)、「悪党〜加害者追跡調査〜」(19/WOWOW)、「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」(16/日本テレビ)、「花のち晴れ〜花男 Next Season〜」(18/TBS)、NHKスペシャル「人類誕生」(18/NHK)、「スペース・スペクタクル」(19/NHK)など。

    スーパーヴァイジングサウンドエディター:勝俣まさとし

    音楽活動期に数々のライブ、レコーディングセッションに参加。映像作品に音響ミキサーとして参加後、ポストプロダクションに深く関わる。参加作品として『るろうに剣心』シリーズ(12、14/大友啓史監督)、『ミュージアム』(16/大友啓史監督)、『虐殺器官』(17/村瀬修功監督)、『無限の住人』(17/三池崇史監督)、『22年目の告白-私が殺人犯です-』(17/入江悠監督)、『パンク侍、斬られて候』(18/石井岳龍監督)、『デイアンドナイト 』(19/藤井道人監督)など。映画を主にアニメ、施設、MV、ステージ、ゲームなど多くのメディアに関わる。

    スタイリスト:荒木里江

    1977年生まれ、山形県出身。主な作品は『新宿インシデント』(09/イートンミン監督)、『冷たい熱帯魚』(11/園子温監督)、『世界的から猫が消えたなら』(12/松井聡監督)、『ジヌよさらば〜かむろば村へ~』(15/松尾スズキ監督)、『バクマン』(15/大根仁監督)、『トイレのピエタ』(15/松永大志監督)、『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(16/宮藤官九郎監督)、『22年目の告白-私が殺人犯です-』(17/入江悠監督)、『未成年だけどコドモじゃない』(17/英勉監督)、『honey』(18/神徳幸治監督)、『Al崩壊』(20/入江悠監督)など。

    ヘアメイク:高桑里圭

    1984年生まれ、愛知県出身。ヘアメイク竹下フミに師事し、『百万円と苦虫女』(08/タナダユキ監督)、『洋菓子店コアンドル』(11/深川栄洋監督)、『関ヶ原』(17/原田眞人監督)、『三度目の殺人』(17/是枝裕和監督)を担当。2012年以降はチーフとしても参加。主な担当作品はドラマ「アゲイン!!」(14、TBS)、「素敵な選TAXI」(14、CX)、映画『からっぽ』(12/草野翔吾監督)、『そこのみにて光輝く』(14/呉美保監督)、『オケ老人!』(16/細川徹監督)、『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』(18/李闘士男監督)、『孤狼の血』(18/白石和彌監督)など。

    主題歌:テッサ・ナイルズ(TESSA NILES)

    エリック・クラプトンや、ローリング・ストーンズをはじめ、錚々たるスーパー・アーティストのステージのバッキング・ヴォーカリストとしてその実力を認められ、レコーディングにおいても、名プロデューサー、トレヴァー・ホーンの数々のプロジェクトに招聘されている。また「ラヴ・アクチュアリー」など映画のサウンドトラックへの歌唱や、ソロでの活動も活発に行っているロンドン在住の実力派シンガー。本作ではプロデューサーの前田浩子とともに映画主題歌の作詞にも参加している。

    原作:ヒキタクニオ

    1961年生まれ、福岡県出身。イラストレーター、マルチクリエイターを経て、小説家となり、2000年、「凶気の桜」で作家デビュー。2006年、「遠くて浅い海」で第8回大藪春彦賞を受賞。主な作品に「人殺しパラダイス」、「こどもの城殺人事件」、「鳶がクルリと」、「触法少女」などがある。

    PRODUCTION NOTES

    PRODUCTION NOTES

    本作のアイディアは、プロデューサーの前田浩子がテレビのニュース番組で男性の更年期障害の特集を見たことから始まった。女性の更年期障害は世の中で広く語られるようになってきたのに、男性の更年期はあまり知られておらず、大っぴらに話をしている人も見たことがない。当の男性たちだって、自身の中年期の変化についてもっと知りたいのではないか。そんな発想からリサーチを重ねる中、前田は同時に加齢による男性の不妊も少なくないことを知る。そんな中、企画の近藤良英から勧められたのが、ヒキタクニオが自身の妊活の経験を綴ったエッセイ『「ヒキタさん!ご懐妊ですよ」男45歳・不妊治療始めました』(光文社新書)である。一読して、その内容に強い関心を持ったという。

    前田 「不妊治療は夫婦のナイーブな問題に係ることなので、実情があまり表で語られていないのに対し、原作者のヒキタクニオさんは他の人なら蓋をしてしまいがちな問題でも、大きな声で、なおかつ、明るい文章でその体験を綴っていた。例えば精子をどういう場所で、どういう方法で採取し、どういう容器に入れ、どうやって病院にまでもっていくか、テンポよく、詳細に書いてあり、ドラマとしても、HOW TO妊活としても、『へえ』とうなづくことの連続だった」

    もうひとつ前田の心を捉えたのが、原作にある「とにかく、驚くほど多くの人が不妊治療をしていた」という一文だった。リサーチをすると自分の周囲にも不妊治療をしているカップルが多くいて、当然のことながら子どもを授かった人もいれば、授からなかった人もいた。最終的に脚本の監修を依頼することとなる「NPO法人FINE~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会」の協力を得て、不妊治療の経験者への聞き込み、同時に不妊治療に従事する複数の医師のレクチャーも受け、妊活の最前線の状況を脚本に織り込んだ。

    映画化へのオファーに原作者のヒキタも快諾し、映画監督は『ぱいかじ南海作戦』、『オケ老人』の細川徹を抜擢。細川は複数のクリニックに取材をしたところ、「不妊治療への取り組み方、考え方、治療の進め方は医師やクリニックによってそれぞれ全く違い、何が正解というものがないことに驚いた」と語る。

    細川 「なるべく自然妊娠に近いサイクルでの妊娠を目指すお医者様もいれば、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療(ART)に積極的なお医者様もいる。どちらを選んでも、絶対に赤ちゃんを授かるかはわからないし、いつ妊娠するかもはっきりしない。妊活においては、ゴールが見えないマラソンの中で、夫婦がどのように話し合い、寄り添い、並走していくかが大切で、結果はともあれ、その過程を大切に描こうと思いました」

    細川がさらに心がけたのは、ヒキタの気持ちとサチの気持ち、その両方を描くこと。そして、子どもが欲しいという夫婦の気持ちをセックス以外の表現で描くこと。無遠慮にベッドルームにカメラが乗り込むような、デリカシーのない撮影は避け、老若男女が楽しく鑑賞し、その後もラフに話し合える内容を目指した。

    細川 「色々リサーチした結果、夫婦の数だけ子どもを持つことへの考え方、そして子づくりへの考え方がある。原作でヒキタさんは自分自身を責めるのではなく、自分の“駄目金玉”にダメだしをし、そのことをコミカルに描いていて面白い。色々試した結果、妊活を辞める人の選択も描いているけれど、その文体も重くない。もちろん、妊娠しても残念な結果に至るなど、軽くない事例も出てきますが、それでも夫婦というユニットが年月を積み重ねる中でお互いに何を見つめ合っていくのか、その過程を探ることを目指しました」

    劇中のヒキタが直面するのが、自分の精子の運動率20%という、動かしようもない数字である。8割が役に立たず、残りの2割も動きが悪く、そこには加齢という、いかんともしがたい事情が絡んでいる。一般的に自然妊娠を目指す精子の運動率は40%以上と言われ、そこからヒキタの涙ぐましい努力が始まる。
    この良い精子を作るための奮闘ぶりをいやらしく見せず、でも、軽すぎず、下品にもしない人。そんな難題を叶えるのはこの人しかいないと、細川と前田が白羽の矢を立てたのが松重豊だった。

    細川 「原作者のヒキタさんは革ジャンに皮ブーツ、スキンヘッドにサングラスという一見、強面の方ですが、僕たちはヒキタさん個人の体験を描く映画ではなく、ヒキタさんの体験を通して多くの方々に妊活を疑似体験してもらえる内容にしたかったので、ヒキタさん本人の了承を得て、主人公のキャラクターに松重さんのパーソナリティを生かす方向へシフトしました。年齢を49歳に引き上げ、とっつきやすくて、愛らしく、でも、時に少年のような弱さを見せるキャラクターへと変えました」

    前田 「松重さんは全ての撮影が終わったとき、『妊活の話だと思って受けたけれど、演じて終えたら、妊活を通して描く家族のラブストーリーでした』と感想を話されました。そこをしっかり押さえて演じてくださって頼もしかったです」

    サチ役には松重と並んでお似合いであること、年の差婚を感じさせない落ち着きと強さを持つ女性ということで北川景子が抜擢された。前田は一度目の妊娠が流産という結果となったサチが、夜の桜並木の下で泣き崩れる場面が忘れられないという。北川は本番で感情が噴出し、突然、膝から崩れ落ち、咄嗟に松重が支えるというまさにライブなやり取りになったからだ。

    クランクインは2018年4月5日、クランクアップが4月26日。目黒区のマンション一棟を借り切って、ヒキタ夫妻の2LDKの部屋の撮影が行われた。夫婦が散歩する商店街は荒川区の尾久商店街。劇中、夫婦が4年間にわたり、重大なやり取りをする桜並木は長野県諏訪で撮影された。

    去る4月に開催された北京国際映画祭でワールドプレミアを果たし、主演ドラマ「孤独のグルメ」の放映で中国でも絶大な人気を誇る松重の存在もあって、異例の5回上映も即日完売の盛況を博した。2015年に35年続いた一人っ子政策を廃止した中国では、不妊に悩むカップルの数が顕在化しており、国境を越えてヒキタ夫妻のチャレンジに強い共感が寄せられた。命を育む奇跡という普遍的な題材を扱っているだけに、今後この作品がどこまで広がっていくのか、その興味も尽きない。

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